事業活動について

家族信託

不動産業と家族信託について

 コロナ禍の蔓延は、不動産業界にも多大の影響を与えましたが、ワクチンなどの接種によりいずれは収束していくものと期待されている一方、日本全体の高齢化並びに出生率の低下は、不動産業に従事している我々にも、看過できない事象であることはいうまでもありません。老人が増加してくると、どうしても認知症も増加し、現在の400万人以上の患者が、5年後には750万人を超えると予測されています。ご承知の通り、認知症となれば、単独での法律行為はできなくなり、法的に無効とされるため、預貯金などは封鎖されて銀行口座から預金を引き出すこともできず、売買並びに賃貸借契約書等や登記もできなくなるという大制限を受けます。
 我々業者が相手をするのは、若い人達よりも、むしろ実質的に当該不動産を所有や賃貸しているこれらの人達になるわけですから、いざというときに依頼者はもとより、不動産業者も困らないように予め準備しておく必要があるでしょう。それには、本人が認知症になる前に、信頼できる家族の一人を指定して、家族信託契約をし、公証人の認証を得ておくことです。成年後見人制度(任意を含む)もありますが、不動産業者には使いづらいと思います。業者自らが信託制度に精通していればよいのですが、不動産業務そのものが多忙なため、なかなか信託まで準備できない場合は、信用と実績のある行政書士を使うという手もあるかと思います。

行政書士 原田陽介

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